カンフル剤はしょっちゅう使わない

これまで順調にテキストが進んでいたH君(小1)。難易度が上がって来て、いよいよ最初の壁にぶつかってしまった模様(>_<)何回も何回も繰り返し同じこと練習をしないといけないのはとても苦痛ですよね…。これを、ゲームを攻略するように楽しめるようになるといいのですが、すべての子がすんなりそうなるとは限りません。

 

▼自力で超えなくてはいけない壁を高~く感じてしまいがちになるのって、こんな場合です。

*最初に順調過ぎてすぐに合格がもらえてきた子

*あまり苦労しなくても弾けちゃう器用な子

*お母さんがつきっきりで教え込んで完成させてからレッスンへ臨ませてしまう場合

 

要は、「挫折知らず」な子は打たれ弱くなってしまうんですね。これはピアノに限ったことではないので、誰しもはは~んと思われるのではないでしょうか。

 

導入期のテキストというのは、1曲ごとに難易度が上がるわけではなく、

 

A◎新しいテクニックを学ぶ曲登場

A○数曲は同レベルの曲が続く

(これらで復習する)

↓しばらくすると

B◎また新たなテクニック登場

B○数曲は同レベルの曲

 

…といった具合に、足踏みできる復習曲をはさみながら、段階的に難しくなるように作られています。(というか、うちではそういう作りになっているテキストを採用、あるいは数冊を組み合わせてA◎→A〇→B◎→B〇…となるように考えています) ですので、◎の新しい曲は少し大人も背中を押してあげたりしながら乗り越えさせ、代わりに○の足踏み曲は大人は手伝わずに自力で弾かせて、基礎体力を持続させます。レッスンでも、◎の曲は少々粗くてもとにかく乗り越えたことに対して合格をあげますが、〇の曲は丁寧に仕上がるまで合格の基準を厳しめにしています。

 

基礎体力が定着すると、新たな難しい曲に入った時に、その培った基礎体力を使って壁を超えられる。これを繰り返していくうちに、だんだん親や先生の力を借りずに弾けるようになり、音楽的自立が完成するんですね。

 

さて、H君には奥の手、“カンフル剤”を用意してみました。

「がんばり屋さんの木」カード\(^o^)/

上手に弾けたらシールを1個ずつ貼って、木にいっぱ~~~い実をつけてみよう!!と言って渡してあげます。すると、「さぁ、もう1回弾いてみて」「んーまだまだもう1回!」と声をかけるたびにヤダヤダ攻撃を送っていたH君が、シールを貼るために自分からどんどん繰り返し練習をし始めました(^^)v

 

ここからがコツ①なのですが、レッスンで木を完成させません。「お家でも続きをいっぱい貼って来て♡」とシールのお土産を渡してあげます。続きがやりたいので、大喜びで持ち帰ってくれます。そうして、次の週にH君が持って来てくれたのがこのカード。赤い実がたわわに実っていますね。H君、教室へ入ってくるなり「先生~見て見て!」と張り切ってこのカードを差し出してくれました。H君、すごくがんばりました\(^o^)/

 

さて、ここからコツ②です。

カード&シール作戦が功を奏したからといって、これを毎回使ってしまうと、子どもは新鮮味をなくしてしまい、カードもシールも放っ散らかして、また練習しなくなります。(「わかる、わかる!」って、そこのお母さん思いました?笑)

 

ですので、私は日頃はシールやスタンプは多用しないようにしています。つまり、ごほうびは用意していないのです。ごほうびが欲しくて練習して欲しいのではなく、練習して「弾けるようになった」ことこそ、何よりのごほうびとして嬉しくなって欲しいなと思っています。

 

そんなわけで、“カンフル剤”は安易に使わないで小出しにしつつ、でも確実にH君は「がんばりやさん」になってくれました。カンフル剤で勢いをつけたら、あとは彼自身の力を信じて、また教室で待っていたいなと思います。