新版 オルガン・ピアノの本


少し前、石井なをみ先生の「新版 オルガン・ピアノの本活用講座」を受けて来ました。


「オルガン・ピアノの本」は57年前にヤマハから出版された、初めてピアノやオルガンを習う子のための導入本。バイエル一辺倒だった時代に登場した画期的な本です。このシリーズが内容・装丁共にリニューアルされました。


私が導入テキストの条件として決めているのは、

・大譜表で両手奏で始められること

・譜割りがスッキリ整っていること


なぜかというと、子どもは一番最初にインプットされたことをよく覚えていて、その後から習うことを上書きしにくい習性があるからなんです。

バイエル上巻は両手ともト音記号しか出てきません。ヘ音記号は下巻から出てきます。このため、ト音記号のみでガッチリ譜読みが完成されてしまうと、後からヘ音記号が登場したときに混乱して、小さな子はなかなか覚えられないんです。利き手ではない左手ということも相まって(左利き除く)、ヘ音記号を読むのが苦手!左手キライ!右手のメロディーだけ弾いて遊んで終わり!という子が続出しました。


(バイエルの名誉のために言いますが、バイエルは後半に構成力のある質の高い曲も多く収められていますし、左手にはⅠⅣⅤの主要三和音による伴奏をたくさん使用しているので、調整の勉強になる良い本です。私は導入には使いませんが、大譜表が読めている子には後半を使う場合はあります。)


さて、セミナーでは石井先生の楽しい話術と共に本の活用方法について様々なアイデアをいただきました。現在、当教室では樹原涼子先生の「ピアノランド」シリーズを気に入っていて導入本のメインにしているのですが、左手に和音奏があまり入っていないこと、リズムや拍感の弱い子には少し難しいこと…等がネックになっていました。そんなときにこの「オルガン・ピアノの本」シリーズは、シンプルなので大変有効に使えそうです。石井先生のおっしゃる通り、ブルグミュラーへの移行にも良いと思いました。基本を覚えられていない子のリハビリにも良さそう(^^;)


「帯に短し襷に長し」といった導入本が多い中で、取り上げている楽曲もよく吟味されていて、"改悪” ではなく“改善” の新版となっていて、とても嬉しくなりました。


石井先生、これまでもコンクール課題曲のセミナー等を受講したことがあるのですが、ついつい「あるある!」と笑ってしまうような、ピアノ教師ならではの悩みや本音を面白おかしくお話されて、すごく楽しい先生なんですよ。講義は有意義&笑いであっという間でした♪ 生徒たちに還元しなくては~!